審判規定
一般社団法人全日本硬式空手道連盟審判規定
第1条(目的)
この規定は、硬式空手道精神を基調として、試合における
審判技術の確立向上をはかり、公平かつ正確な審判を行
う事、及び選手の試合中における規律ある行動の保持を
目的とする。
第2条(資格)
@前条の目的を達成する為、審判員及び監査役を設け
る。審判員及び監査役は、公認制とし、別表の資格
基準を準用する。
A公認全国審判員及び公認地区審判員並びに公認都
道府県審判員は、所定の資格試験を受験し、資格を得
るものとする。
B審判員及び監査役の任免は、大会会長名で行う。
第3条(委員会)
@技術、審判関係の方針決定及び実施のための機関
として、審判委員会をおく。
A審判委員長は理事会が選任する。
第4条(試合場)
@試合場は四角形コートとする
Aコートは、平坦な場所でマットなどを使用した危険防止
の処置をしたものとする。
B試合場の広さは8m四方とする。ただし、少年部等の
試合において、7m四方とすることもある。
C試合場の中央より正面に向かって、中心から左右に
それぞれ1.5mの間隔をおき、1mの平行線を引き、
これを試合者の所定位置とする。
D試合場の中心より正面に向かって後方2mの所に
0.5mの横線を引き、これを主審の位置とする。
E副審は2名とし、主審定位置の左前方角と右前方角
に立ち、適宣移動する。
F監査役及び記録席は、主審の後方で場外とする。
第5条(試合者)
@試合者は清潔な白無地の空手道着を着用し、その上に
全硬連指定の安全防具を着用し、原則として赤、青
(又は白(以下同じ))の紐を各々帯又は防具に付ける等
してそれぞれを区別する。
A試合者は爪を短く切り、金属その他相手に危険を及ぼす
ような物は一切身に着けてはならない。
B試合者は原則として、白の拳サポータ―(原則として全硬
連指定のもの)、金的カバー(男性)を着用する。但し
審判委員会の認める脛あてサポーターの着用は認める。
第6条(審判員及び監査役)
@審判員は、主審1名、副審2名とする。
A審判員及び監査役は、審判委員会で定められた服装を
着用しなければならない。原則として、制服は全硬連指定
のもので、足は原則として白の運動靴を着用する。尚、
審判員は腕時計等、選手に危害を及ぼす恐れのある物
を身に付けてはならない。
B試合の運行及び審判員の公正を図る為に、監査役を
1名おく。
第7条(試合の運行)
@各コートの試合の開始は、試合者が赤、青に分かれて
コートの外に整列し、正面に礼、審判団に礼、お互いに
礼により始まり、正面に礼、審判団に礼、お互いに礼を
もって終了する。
A試合は試合者が所定の位置に立ち、主審に礼をした後、
試合者相互が礼をし、主審の「勝負1本始め」の合図で
開始する。但しその大会規定により主審に対する礼は省略
する事が出来る。
B試合は、主審の「それまで」の合図で終了し、主審の勝敗
の宣言を受け、主審に礼をした後、試合者相互が礼をし、
握手をして終了する。但しその大会規定により主審に
対する礼は省略する事が出来る。
C試合中の一切の運行は主審の指示によって行う。
第8条(試合方法)
@試合の種類は次のとおりとする。
(1)個人試合 (2)団体試合
A試合の方法は次のとおりとする。
(1)試合は1本勝負 (2)ポイントによる勝負
B団体試合の出場選手は奇数とする。
C監督により定められた順序に従って、各個人の試合を
行い、団体の勝負を決める。試合中、監督や選手の
判断により、試合順序を替えたとき、その団体は失格負
けとする。
D試合は、勝者数法と勝ち抜き法の2種類とする。
第9条(試合時間)
@試合時間は原則として2分間とする。但し、その大会
規定又は審判団の協議により時間、延長戦の有無を
決定する事ができる。延長戦は本戦のポイントと反則を
引き継ぐ。
A個人戦の場合、延長戦は2回迄とし、原則として2分
間とする。
Bさらに勝負が決しない場合は、再延長戦を行う事が
できる。再延長戦の時間等は大会規定で定める。
尚、勝負が決しない場合は主審、副審、監査役の
協議による。
C試合時間は、主審の試合開始の合図により計り
始めるものとする。但し、事故又は審判員の協議等に
より要した時間は除外する。
D計時係が試合時間満了の合図をしても、主審の
「止め」がかかるまで試合は続行しているものとみなす。
E計時方法は、主審がタイムをかけた時のみ計時を
中断する「流し」方式と、主審が「止め」をかけた時は
全て計時を中段する「正味」方式がある。
どちらを採用するかは、大会によって定める。なお、
タイムは、主審に代わり監査役がかけることもできる。
第10条(勝負)
@勝負は1本、あるいは判定による勝ち、或いは反則、
失格による負けによって決定する。
Aポイントにおいては、ポイントの多い方を勝ちとする。
(5ポイント差が生じたときは、1本となり試合は終了
とする)
B攻撃目標は、次のとおりとする。
(1)安全防具面部(面部の顔面部及び顔面部
から耳側部の部分)
(2)安全防具胴部(胸部と腹部及び防具の側面)
第11条(1本及び技有りの判定基準)
@1本及び技有りの判定は次の各項による。
A以下の場合は1本とする。
(1)基本的な正しい姿勢、かつ充実した気迫と適切
なる間合いで有効な威力ある突き、蹴り、打ち、当てが
定められた部位(相手の顔面、中段胸部と腹部)に
十分コントロールして当て、極め、相手のバランスを崩し
倒し、残心を示した場合。
(2)3連続技が確実に決まった場合。(3連続技とは
相手に技有りを3本連取し、その間相手の技有りを挟ま
ない場合)
(3)5ポイントの差が生じた場合。
(4)打撃技のダメージにより体がふらついている場合。
B技有は、前項で決められた技で、1本に近い技である
場合を技有とする。この場合、上段の蹴り技は2ポイント
それ以外の技は1ポイントとする。
Cまた、相手が転倒した際(足払いに因らない転倒を含む)
に瞬間的に寸止めを決めた場合は、技有りとする。その
際、完全制圧した場合(相手が仰向けになった場合等)
は2ポイント、それに準じる場合は1ポイントとする。
D主審の「止め」の合図の後の技は一切認めない。但し
「止め」の合図と同時にかけた有効な技は認める。
E試合者双方が場外に出た時にかけた技は無効とする。
但し攻撃した者が瞬間場内にあり、主審の「止め」の合図
の前にかけた有効な技は認める。
F次の場合は充分であっても1本と認めない。
・相手をつかんだ時(空手衣、安全防具)
第12条(優劣の判定基準)
@試合時間内に1本、技有り、反則、失格負けの無い
時は監査役、主審、副審が協議のうえ、次の各項により
総合的に優劣を判定する。
A技有りに近い技の有無 B反則注意の有無
C逃避の有無 D試合態度の優劣 E技術の優劣
F気迫戦意の度合 G攻撃、手数の多少
H戦術の優劣
第13条(禁止事項)
@禁止されている技は次の通りとする A安全防具以外
の部位への直接加撃
B股間への加撃(金的) C背面への直接加撃
D転倒者への直接加撃 E下肢への蹴り技(足底で
の足払いは可、足甲での蹴りは不可)
F投げ技(但し、相手を掴まずに崩すことは可)
Gバックハンド H関節技 I頭部への膝蹴り
J手や腕で相手の頭を引き寄せての加撃
K開手技(中学生以下の場合)
L禁止されている動作
(1)極端な場外逃避、時間を空費するための行為
(2)掴んだり組み付いたり、或いは暴力的な体当たり
(3)罵倒、挑発的な言動、相手の人格を無視する
ような言動、態度
(4)技を決めた後、故意に試合場内を逃げ回ること
(5)無防備
第14条(反則等)
@禁止事項を犯そうとしたり、又は犯したときは主審により
反則注意が宣せられる。反則注意後、更に注意される
ようなことを犯すと反則負けとなる。
A軽微な反則については最初「警告」とし、その後反則した
場合は「反則注意」の宣言を受け相手方に技有り
(1ポイント)を与える。但し、反則行為が明らかに
計画的で執拗を極めた場合は相手方に反則勝ちを
与える。
B場外は1回目から場外の宣告をし、相手方に技有り
(1ポイント)を与える。場外とは、片足1足がコート
ラインから外に出た場合を言う。
C次の場合は、直ちに失格を宣せられ負けとなる。
この場合、監査役、主審、副審協議により、審判長の
決裁を受け、以降の試合の出場停止をさせられる事も
ある。
(1)空手道の権威を失墜する行為のあった時
(2)試合中審判の指示に従わぬ時
(3)極端に興奮し、試合続行上有害と認められた時
(4)禁止事項を故意に無視する悪質な行為と認められ
た時
(5)その他、この審判規定に定めた事項に違反して
いると認められた時
第15条(試合中の負傷又は事故の生じた場合)
@負傷が軽微で試合に耐えられるにも拘わらず試合の
継続を拒み、又は、試合の中止を申し出た場合は、主審
が監査役及び副審と協議の上、棄権とし相手方の勝ちと
する。
A負傷の場合、試合を継続することが出来ない時は、その
原因が一方の責任でなく双方の責任の場合、若干時間
を取り様子を見て判断する。尚、試合の継続が不可能な
時は主審、監査役、副審が協議しそれまでの試合の優劣
で決める。
B試合中相手方より金的を蹴られ、試合の続行が出来
なくなった場合蹴られた選手に1ポイント与え、若干
時間を取り様子を見る。それでも試合続行が不可能な
場合蹴られた選手が金的カバーを付けていれば相手方
の反則負けとなり、付けていなければ試合放棄として
相手方の勝ちとなる。
C負傷又は負傷以外の事故で試合を継続する事が不
可能になり、試合の中止を申し出た者は棄権とし、相手
方の勝ちとする。
D負傷の場合、その大会の医師より、試合中止の宣告を
受けた者は、試合を継続する事が出来ない。
第16条(異議の申し立て)
@試合者は、主審の宣告に対して直接異議の申し立ては
できない。
A審判員の判定が、明らかに試合審判規定に違反して
いると認められた場合は、直ちに試合者所属の責任者
(通常監督)又はセコンドは監査役に対し異議の申し立
てを行う事ができる。
B前項の責任者は、登録制とする。
第17条(その他)
@本規定により決定する事が出来ない場合、又は実施
に関して疑義がある場合は、主審、副審、監査役が
審判長と協議のうえ処理する。
A大会試合においては、緊急の時に備え医師を依頼
しておく事。又選手全員に対しスポーツ保険を加盟する。
第18条(審判規定の改定)
この規定の改定は、理事会の決議を必要とする。
附則 この規定は2021年12月5日から施行する。